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cloud9science

ワタクシ@yu_kuboが見てきたこと作ったもの思ったことなどのメモ置き場

典型的ニセ科学としてのEM菌

思った考えた

ニセ科学とは,科学を装ってはいるが科学ではないものを指します。
科学か科学でないかはグラデーションになっていて,誰もが納得するような線引きはとても難しいです。
が,それでもなかには真っ黒のものもあって,そういったものには拒否の姿勢を示すことが大切だと考えます。
(グレーゾーンならグレーゾーンなりの扱いをした方がいいでしょう)

琉球大学名誉教授・比嘉照夫氏が提唱するEM菌は典型的ニセ科学のひとつです。
ニセ科学の定義は例えばテレンス・ハインズ『ハインズ博士「超科学」をきる―真の科学とニセの科学をわけるもの』化学同人1995)によれば以下のようです。
 1.反証が不可能である
 2.検証への消極的態度
 3.立証責任を転嫁する

比嘉照夫氏は,EM菌の効果を第三者が検証する権利はないと主張しています。
(ちなみに福島県環境センターの2008年の調査では,河川へのEM菌投入は汚濁源になることが確かめられています)
これは科学で認められた通常の手続きの否定です。
にもかかわらず,宮崎県で口蹄疫の問題が発生すればEM菌は口蹄疫ウイルスに効果があると主張し,福島県原発事故が起こればEM菌は放射能を消すと主張しているのです。
今年の夏は,熱中症にも効くと主張しています。
異なる問題には異なる原因があり,その対策も異なるのが当然ですが,EM菌は万能なのでそのすべてに効果があるのだとの主張は無謀なものでしかありません。
(とあるところでEM菌のおかしさを文章にしたところ,「それならあなたは自分で実験して効果がないことを確かめるべきだ」と言われたことがあります。立証責任の転嫁!&悪魔の証明!!)

海の日に,各地でEM菌を河川や海に撒くイベントが開催されました。
ここ名古屋でも名城公園で開催されるということなのでその様子を見に行ってきました。


現地に到着したのが3時半過ぎで,EM団子作りは終わって,参加者の皆さんが投入現場へぞろぞろと移動し始めたころでした。
こちらのブログによれば河村たかし名古屋市長もこの直前にいらしてたのだとか。うーーーむ。


ピンクのベストには「堀川エコクラブ」とありました。
参加者は幅広い世代に渡っていて,高齢のご夫婦も小学生の子ども連れもいました。


黄緑のベストは「TEAM EM」とありました。こちらは株式会社EM生活のスタッフでしょうか。


投入された場所名城公園西交差点北側の堀川。


みなさん満足感いっぱいでほんとに楽しそうに見えました。
水質を改善したいという彼らの善意を疑うものではないのですが,善意であれば間違いが許されるというわけでもありません。
地獄への道は善意で舗装されている」という言葉もあります。



このような行為に反対したほうがよいと考える理由をまとめておきます。
 1.EM菌に水質改善効果があることは確かめられていない(というか,有機物を含むので汚濁源になる)。
 2.本来その場にいないEM菌を撒くことは外来種を放つことと同じ。
 3.EM菌のようなニセ科学がはびこる社会は自ら考えることを放棄した社会。

EM菌の推進者は地方公共団体に食い込み,学校に食い込んで,日本の社会に広がっています。
なんだかよさそうなことだからやってみようではなく,立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか?



参考サイト
 自然水系に微生物資材を投入するというのはどういう事か - 杜の里から
 生物多様性の見地からEM浄化活動を考えてみる - 杜の里から
 EMとメディア - 呼吸発電
 EM菌(有用微生物群) - Skeptic's Wiki
 飯島明子先生の特別講義:「閉鎖性水系の有機汚濁」 - Togetter



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