熊野古道は,熊野本宮大社,熊野速玉大社,熊野那智大社(あわせて熊野三山といいます)への参詣道です。
そのうち伊勢路は伊勢神宮と熊野三山を結ぶ参詣道です。
SF作家の野尻抱介さん id:nojiri_h (三重県津市在住)のTwitterをフォローしているのですが,先月三重県の熊野古道を紹介するサイトをツイートされていました。
それでこの冬の青春18きっぷの使い道は決定。
熊野古道伊勢路を歩いてみることにしました(誰かに影響されやすいヒトなのです)。
土曜休日のみ運転の快速「みえ」51号で名古屋駅から多気駅へ。
車内検札で18きっぷを見せて伊勢鉄道線の490円を払うたびに,なぜ伊勢線開業と同時にこちらを本線にしなかったのかともにょもにょ。
多気駅で臨時快速「波田須駅開業50周年号」が待っていたのでとりあえず乗ってしまいました。
紀伊長島駅で後続の普通にのりかえて三野瀬駅へ。
今日はここから歩き始めます。
実はこの三野瀬駅。個人的にはとても思い入れの深い駅。
ここから歩いて5分ほどのところに祖母の家がありました。
小学2年生の夏,名古屋駅からひとりで急行「紀州」3号に乗っておばあちゃんちへ。
1ヶ月のあいだ,従兄弟の兄ちゃんと毎朝山へクワガタ採りに,毎日海へ泳ぎに通ったのでした。
もう20年以上も前の話です。今では親戚の誰一人も住んでいません。
そういうわけで多少の感傷もあって三野瀬駅を熊野古道の旅のスタート地点にしたのです。
始神峠
始神(はじかみ)峠は旧紀伊長島町三浦と旧海山町馬瀬の境界をなす峠です。
いまではその2つの町は合併で紀北町になっています。
始神峠への案内は国道42号からついているので,看板に従えば迷うことはないでしょう。
登り口には駐車場とトイレもあります。
宮川第二発電所放水路の脇を通って山に向かいます。
息を切らしながら歩いて行くと,ハトが飛び立ってびっくりさせられます。
後ろ姿が緑色に見えたのでアオバトかも。
始神峠からの眺め。
峠を降りて国道42号に出て500mほど尾鷲方向に行くと馬瀬のバス停です。
船津駅へはさらに1.5kmほど。
馬越峠
馬越(まごせ)峠は紀北町と尾鷲市の境界をなす峠です。
馬瀬のバス停で三重交通南紀特急バスに乗って鷲毛バス停へ(450円)。
鷲毛のバス停を降りると,眼の前が馬越峠の登り口です。
始神峠では誰ともすれ違わなかったのですが,馬越峠では5組のハイカーグループとすれ違いました。
熊よけの鈴をつけている人も多かったのですが,その可能性はまったく考えてなかったYO(~_~;)
天狗倉山
馬越峠は尾根筋の道との十字路になっていて,尾根に沿って東へ向かうと天狗倉山です。
山頂には巨大な岩が鎮座しています。
はしごをよじ登って岩に上がると尾鷲市街が一望できます。
新鹿海岸
尾鷲駅から紀勢線で新鹿駅へ。
今夜の宿は新鹿の民宿。
新鹿は三重県内有数のきれいな砂浜のビーチで,夏は多くの海水浴客で賑わうところです。
が,オフシーズンの今は素泊まりのみ営業の民宿も多いようです。
3軒目に電話した美砂荘でようやく一泊二食付きで泊まれることに。
「うちで作ったみかんどうぞ」と出されたみかんがみごとだった。
見てくれは悪いけど小粒で味が濃縮されている。こういうみかんは大好き。
みかん農家だったおばあちゃんの作ってたみかんにそっくり。
サッカーの試合を見ながら,かごに盛られた10個ほどを全部食べてしまいました。
曽根次郎坂・太郎坂
翌日。本当は新鹿から賀田まで,5時間くらいで歩く予定だったのですが甘く見ていました。
昨日の山歩きで膝と足裏にかなり疲労が溜まっていたので(もちろん普段の運動不足のせい),予定を変更。
というか,ちゃんとした登山靴で山に来い>オレ(今日,モンベルで買いました)
新鹿駅から二木島駅までひと駅移動し,そこから賀田駅まで曽根次郎坂・太郎坂を歩くことに。
でもそうしておいて正解だった。2時間半で走破の予定が3時間以上かかってしまったのだから。
紀勢線ならトンネルをまっすぐ抜けるとすぐに賀田駅なのですが,今日は(今日も)歩いて峠を超えます。
トンネルの隣の階段が登り口。
振り返ると,警笛を鳴らしながら貨物列車が二木島駅を通過していくところ。
ムスカ大佐殿なら「何だこれは!!木の根がこんな所まで、一段落したら全て焼き払ってやる!」というところですね。
野生のシカの親子が眼の前に現れて,一瞬睨み合ったあと逃げ出した。
上の写真は猪垣(田畑をイノシシやシカから守る石垣)に付属する落とし穴でしょうか。
尾鷲や熊野など三重県南部はヒノキの人工林が中心で,熊野古道はまっすぐ上に伸びるヒノキとシダの下生えの中を通って行く道です。
が,一部落葉広葉樹もあって,そこでは石畳が落ち葉に埋もれていたり。
熊野古道伊勢路を歩く #2 に続く